FM三重『ウィークエンドカフェ』2015年4月4日放送

今回は、津市美里町から『KIPプロジェクト』プランナーの稲垣博文さんがカフェにお越しくださいました。
和気あいあいとした雰囲気の中で、様々な講座が開かれています。
難しいことをするのではなく、みんなの生活がちょっと便利になるような・・・
そんなことを教えてくれます。

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■田舎の人の生活が便利になるよう、3年前に『KIPプロジェクト』を開講

KIPの意味は『古民家で、IT、パソコン』それぞれの頭文字から。
パソコンのITセミナーを古民家で行っていることから、この名前になりました。
3年前、多分全国で初めてだと思うんですけど、古民家を使ったITセミナーというのをやっていこうと思いました。

僕が住んでいるのは津市美里町という地域で、ちょっと前までは村だったところ。
合併して町になったんですけど、田舎なのでいろいろなことが不便なんです。
僕は本業でガソリンスタンドを経営していますが、ガソリンスタンドは町でウチ1軒だし、商店も少ない。
本屋さんも銀行もない・・・といった中で、住んでいる人たちが便利に過ごそうと思うと、ネットを使うのが一番手っ取り早いのではと思ったんですね。
距離を縮め情報を届けてくれるのがインターネット。
それらを知ってもらい使ってもらうノウハウを伝えたいな、というところからスタートしました。

今までもパソコンの講師などはしていたので、それを古民家で始めたのが『KIPプロジェクト』だったんです。
美里町は、津の中心から車で20分。
以外に近いにもかかわらず、しっかり山里です。
古民家のオーナーが、たまたま美里に移住してきた方で、その人といろいろな話をしていく中で、会場として提供してもらったので、それをきっかけに始めたという感じです。
受講内容によって参加者の年齢層も変わります。
ちょっとマニアックな内容になると、高齢者よりもどうしてもITが好きな、同じ世代のコアなメンバーになります。
一方、写真講座などになると高齢の方もいらっしゃるので、楽しくできます。
写真講座は難しいものではなく、「デジカメ買うたけど、うまく使えやんわ〜」という方を対象に、せっかくの道具を楽しく使ってもらおうというものなので、こうしたらうまく撮れるよ、綺麗に撮れるよ・・・というアドバイスをしました。


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■寺子屋のような教室

コンピュータに触れるきっかけは、大学時代に自分のパソコンを買ったのが、最初です。
ちなみに僕は今年40歳。
小学校の時にファミコンが発売された世代、いわゆる『ファミコン世代』なんですね。
なので、ゲームから機械を触るのが好きになったのと、家業がガソリンスタンドだったため、機械に触れることが多かったので、そこから好きになったんでしょうね。
そうこうしているうちに方方から声をかけてもらえるようになり、村の公民館講座の講師や、市の公民館講座の講師をさせてもらっているところからさらに広がっていったという感じです。
あくまでも趣味が講じて、こんな形になっています(笑)

集まってくる人たちの反応は様々です。
まず美里町に来るということが、交通手段があまりないので、いきなりハードルが高いと思うんです。
しかも僕の講座は夜間に行うことが多いので、来てくれる人の反応としては、
「道が真っ暗だけどいいの?」
と。
道があっているのかわからない、真っ暗で場所がわからない、ということをよく聞きます(笑)
内容としては、「今まで全然知らなかったけど知って得した」「遠くから来たけど良かった」・・・などのうれしい声をいただいています。

電波に関しては、田舎ではあまり状態が良くないところもありますが、幸い講座を行っているのは、美里町の中心なので、それほど問題はありません。
しかしちょっと外れると携帯の通じない地域も実際あるので、そのあたりが難しいですね。

そして、古民家というシチュエーションも好評です。
机を並べるのではなく、机を囲んで畳の上にあぐらをかいて行うという形を目指したので、そのあたりが良いのかな、と思います。
お客さんによく言われるのは、寺子屋みたいだと。
『現代版寺子屋』的なイメージがあるのだと思います。


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■ライフラインとして、とても重要なガソリンスタンド

車を運転する方は良いとして、運転されない方も生活の中で石油を使うこともあるでしょうし、それ以外にも買い物など、生活の足の部分に困っていることがあると思います。
なのでそれをITを使ったり、またガソリンスタンドとして何かお手伝い出来たらな、と考えています。
この地域は冬がとても寒いので、灯油の配達は1年中行っています。
ガソリンスタンドは日本全国どこにでもありますが、美里町はウチ1軒しかないので、ある意味ライフラインを担っているという意識がかなりあるますね。
だから、お店は、潰したいけど潰せないですね(笑)
冬場だと特に灯油の注文が安否確認にもなりますので、注文がないと不安になります。
最近注文の電話がないけど、大丈夫かな、とか。

美里町は冬場、道路が凍結することもあるので、町民は基本、スタッドレスを履きます。
別の地域からノーマルタイヤを履いてきてしまった人などが、ガソリンスタンドに助けを求めに来ることも多いですね。
気がついたら、町の何でも屋さんというか、町のパトロール的な存在になっていくのではないでしょうか。
特に美里町は急激に過疎高齢化が進んでいますので。
独居老人が町内に約200人いると言われています。
今まで若い人と暮らしていたのが、若い世代が結婚して出て行ってしまうとか・・・そういうのも町に住んでいるとわかるんですよね。
そうすると、これから家で1人、どうやって過ごすしていくのかな、とかは気になりますね。
ITをいかにして使うかが課題だと思うのですが、しかし高齢者に今から覚えてもらうのは大変なことです。
身近にあるものを使って、それをうまくITで結び付けられたら・・・と考えています。

祖父の代に開店し、父、そして自分と受け継いできた、美里町に1軒のガソリンスタンド。
四代目は一応やる気があるらしいのですが、正直、あまり続けさせたくないですね、仕事としては。
しかし多分父親は、僕が継ぐとわかっていたと思います。
父が早くに亡くなり、無理やり引き継いだというのもありますが、言葉では言わずとも身体で表現していたような気がします。
こうやってやれよ、とか。


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■山奥の秘密基地はとっておきの場所

山奥の方に移住した方が作った『秘密基地』と呼ばれる拠点があるんですけど、そこはとても楽しいですよ!
秘密基地と言いつつ、けっこう周りから見えるんですけど(笑)
そこに行くと、いろんな人が集まっているんです。
秘密基地の持ち主は、三重県や美里の魅力を発信している人。
なのでいろいろな地域からいろいろな考えを持った人が集まるので、そういった人たちと話しながら交流を深めるのが楽しいですね。

いろんなイベントやプロジェクトも開催しているので、そういう時にも人が集まります。
数年前から田んぼを作るプロジェクトを行っていて、採れたお米を食べる収穫祭も開催しています。
地元の人や、イベントに参加したい人たちが集まってきます。

やはり一緒にやっていると、仲間意識も出てきますね。
里好きが増えてくれるとうれしいので、秘密基地だけではなく、他の美里の部分も見てもらって、好きになってほしいです。
秘密基地は美里町の一番奥にあるので、美里町の入り口から奥に向かって通ってきてもらえると良いな、と思います。

県外の人もかなり来ていて、今は北海道からも来ています。
場所の魅力と人の魅力、両方あるんでしょうね。
そして山深くて静かな田舎と、イベント時の盛り上がりとのギャップが面白いのかもしれません。

僕は商売人なので、米作りはしたことがないんですよ。
でも間近で見たり体験させてもらうと大変なのがよくわかるし、それを知ってからいただくお米は本当においしいです。


『KIPプロジェクト』の稲垣さんは、現在『ゲンキ3ネット』の特派員として活躍中!
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